2026年6月19日
※この記事は「はっぴーママいしかわvol.86」(2022年1・2月号)に掲載されたものです。
冬期の注目すべき胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスによる感染症です。潜伏期間はノロウイルスで1〜2日間、ロタウイルスで1〜3日間。ノロウイルス感染症が初冬(11〜1月)に流行し、入れ替わるように早春(1〜4月)にロタウイルス感染症が始まります。主な症状はどちらも嘔気、嘔吐、下痢、発熱です。ノロウイルス感染症は微熱程度で重症化は少なく、比較的早期に回復します。
一方、ロタウイルス感染症は高熱になることも多く、激しい嘔吐・下痢による脱水で入院となる症例もあります。酸味の発酵臭がある白色水様便が特徴で、便の色が診断基準のひとつです。稀に脳症や急性腎不全などの重篤な合併症も引き起こします。このようにロタウイルス胃腸炎のほうが重症化しやすく、特に重症化しやすい乳幼児には経口ワクチンが定期接種になっています。診断には便による迅速診断キットを使いますが、検査結果に頼ることなく、流行を把握し適切に対応することが大切です。
感染経路は糞口(経口)感染・接触感染・飛沫感染です。中でも、接触感染や患者の嘔吐物・下痢便を介した飛沫感染など、ヒト-ヒト感染によるものが主です。排出便や吐物は多くのウイルスを含んでおり、感染力も非常に強くなっているので、蔓延しやすく注意が必要です。
両ウイルスともに、アルコール消毒は効果がありません。オムツ替えや吐物処理の際にはマスクと手袋をして、なるべく直接触らないように。とにかくオムツや吐物に触れたものは、ナイロン袋に密閉して廃棄する、洋服などは乾燥する前に即座に洗う、そして手洗いの徹底が基本と考えてください。
『ご家庭での嘔吐物の処理方法 ~感染性胃腸炎の家庭内感染を予防するには~』 福井済生会病院より
小児科
金沢医療センター
太田 和秀先生 ※先生のプロフィールは取材当時(2022年)のものです。
富山医科薬科大学卒業後、金沢大学附属病院小児科を経て、現在は同センター教育研修部長に感染管理室長、小児科部長を兼任。